ぽたぽた。
WJ黒/子の/バス/ケの二次創作BL小説中心女性向同人サイトです
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桜井は意味がわからないと思う。
二週間前に桜井にまさかの告白を受けて、思わず了承してしまった。何だかいきおいで応えてしまったようで自分の迂闊さを後で歯噛みしたのだが今更どうしようもない。 「のー桜井」 「はいっすみません!」 「なんでやねん」 多少口調がきつくなってしまうのは仕方がないと思う。連れ立って歩いている間、桜井はおどおどとしたままチラチラとこちらを窺っている。本格的にうっとうしい。慎ましい女子だってもう少し堂々としているだろう。女子とはそれなりに付き合っていた経験はあるが、男と付き合うのは初めてなのでわからない。 別に桜井のことは嫌いではない。ただ、好きかもしれない、というだけだ。そういう目で見ていなかったのだから仕方ないだろう。 (こりゃこっちから仕掛けてやらなあかんか……) 桜井から好きだと言われることはあるが、それだけだ。自分からは言ったことなどない。好きなんてただの言葉で、わざわざ言ってやる必要もない気もするし、男同士で好き好き言い合うのも気持ち悪い。 だが、ならばこそ言ってみようかと思った。 始めこそ桜井とのお付き合いに緊張していたものの、この二週間の間にしたのはキスが一回きりである。セックスはまだ本能的に怖いが、付き合っているのなら、もう少し色気があっていいのではないかと思う。 しかし、どういう意味であれ桜井は泣き出す気がする。だがこのうっとうしいばかりの桜井の顔が哀しみに歪むのであれば少しはすっきりするだろうし、もし怒るのだとしても、それはそれで見てみたい。今の状況からは多少変わるのだ。 「桜井ぃー」 「は、はいっ」 ぴたっと驚いて桜井の足が止まる。それがまた少しうっとうしいなと思うが、顔に出すことは我慢した。 「俺なー……」 「……?」 上目遣いに見上げてくる桜井はすでに泣きそうだが、まだ泣いていない。泣けばうっとうしいとわかっているのに何故か口を開いてしまう自分に思わず唇が弧を描く。 「……えーと、なぁ」 「……はい……?」 だが、あれ? と思う。 「え、と、うん。あのなー……」 おかしい。 「……」 「先輩?」 絶対におかしい。 何故だが言葉が出てこない。からかってやろうとしているだけなのに言えない。もしかしたら声が出なくなったのではないかと思う。新手の病気だろうかと考えたがさすがに可能性は低そうだ。何かストレスなど感じているのだろうか。……それはあり得そうだ。いや、あり得ないのだけど。 意味がわからないまま、やばいなと思う。別に言えないことなど何の問題でもないというのに、なにやら無性に恥ずかしくなってくる。どきどきして、なんだか顔が火照ってきた。 「あつ……」 思わず顔を覆って呟く。ちゃんと声は出るらしい。 「暑いんですか……?」 「うん。俺暑いの苦手やわぁ~」 すらすらと出る。それならやはり喉に問題はないのだろう。ではさっきのは何なんだ。 再び歩きはじめたものの、先程よりも気まずい沈黙が降りる。桜井は相変わらずチラチラとこちらを盗み見ていて落ち着かない。 (いや、あれ……あっちゃー……) あり得ない理由ゆ考えて、その可能性にますます顔が火照るのがわかる。しかしまさかそんな。 「あ、あの!」 「えっ、あ、うん。なん?」 突然大声を出されて驚く。桜井を向くと必死な顔になっていた。 「手、を、繋いでもいいですか!」 「……」 今まさに暑いといったのに何故だと、自分の中でいやに冷静な部分がツッコミを入れる。しかしそれだけで、あとの思考回路は完全にショートしている。何も考えられない。 だから思わず手を繋いでいた。桜井は真っ赤になりながらも握り返してくる。 (……えええええ?) お互いの体温が伝わって暑くてたまらない。まったく意味がわからない。暑いのが嫌いなのは本心であるから理由をつけて離してしまえばいいのに、それでも何となく、手をつないでいる。 「……桜井ぃ」 「え、はい! すみません!」 「いや……、あー……」 好きだと口にしようとして、やはり声が出なかった。 まったくもって意味がわからない! 学生なんだから、今吉さんもヘタレでもいいと思うんだ PR |
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