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ぽたぽた。 WJ黒/子の/バス/ケの二次創作BL小説中心女性向同人サイトです
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「森山(も やま)先輩!今日一緒に帰(り)ませんか!」
「あ、……ああ」
「よっしゃあっ! マジ約束っすか(ら)ね、オ(レ)待ってますか(ら)!」
「……うん」
 今日も長い部活も終わり、自主トレ組もシャワーを浴びて終了ってとこに早川が突撃してきてそのまま戻っていく。同級生が何人か何事って顔でこっちを見てて気まずいやら恥ずかしいやら、正直地べたに座ってんのに座りが悪い感じがする。笠松が早川うるせえって怒鳴るのと、小堀がなつかれたな、って笑う間にそんな空気は霧散するんだけど、やっぱり苦く笑うしかない。
 だって、なつかれたんじゃないんだ、俺はあいつに、早川に告白されてんだ。……頷いちゃってんだよ。
 なあ、俺、早川と付き合ってるんだぜ。


「だんだん寒くな(り)ますね!」
「だなー、シャワー浴びるより風呂入りたくなる」
「ほんとですよ!」
 早川に告白されて一週間。変わったことは少ないっつか変わったことない。相変わらず早川は俺の名前呼べないし、バスケ一生懸命だし。土日も部活で消費、デートとかない。そもそもバスケしてるとき一緒にいるんだからまあ、今更なのか。でも今みたく一緒に帰るのは増えたかも。早川はいつだって誘ってくるし疲れてても気力湧く。何気なくちょっと遠回りしてるときとか道草してるときとか、気付いたら恥ずかしくってって考えんな! おかしいな、俺の隣は可愛い女の子って決めてたのになんで俺よりでかい奴がいるんだろう。泣きそう。
「あの、森山(も やま)先輩」
「なんだ?」
「オ(レ)は森山(も やま)先輩のと好きで、大好きです。愛してます。先輩は?」
「っ、だから」
 なんで。なんでなんでなんで。神様はバカな言葉を作ったんだ。なんで、「好き」も「愛しています」もら行がないんだよ!
 告白されつからこの押し問答を何回したっけ。早川は俺にどうしても言わせたいらしいが、早川に向かって言えとかそんな恥ずかしいこと出来るわけない。しかも帰り道とか、人は少ないけどどんな羞恥プレイだよ。家とか部室とかで促されても恥ずかしいけど。
「…………お前な、そういう言葉は簡単に言うもんじゃないだろ」
「そうかもしんないですけど……、オ(レ)、先輩のこと本気で好きなんです。だから好きって言いたいし、好きって言わ(れ)たいし、でも先輩、言ってく(れ)ないし。だったらオ(レ)が好きって言えばいいんじゃないかって」
「ストップ。ストップ、やめろ」
 うわあダメだ、もうダメだ恥ずかしいこいつはもうもういや恥ずかしい恥ずかしい! 俺が恥ずかしい! 俺がおかしいの、ねえ、なんでそこははっきり言うんだよ、恥ずかしいな!
「禁止」
「え」
「好きも愛してるも禁止! 言われたって困るし俺に言うな!」
「……え」
 うあああ俺まで思わず大声で言っちまったじゃねぇか! 恥ずかしいと頭を抱えたくなる。だがしかし仕方ない、だって俺、好きも愛してるも大切にしたいんだ。早川の言うとおり、嬉しい言葉だし優しい言葉だし、そういう言葉って大事だと思うじゃないか。
「先輩……」
「……なに」
 なんでわかんないかなと俺より背の高い後輩を見上げれば、そいつが思いの外遠くにいて、え? となる。声出たかも。なんか黄瀬とは違う感じの犬の耳が見える気がした。しょぼくれてる早川は珍しいっちゃ珍しい。というか、泣きそうだった。ぎゅうっとブレザーの裾を握る手が遠い、顔が、ただ情けないくらい歪んでる。
「先輩……、オ(レ)にあんま言わ(れ)んの、嫌なんですか……」
「え、ちょ、どうした」
「先輩は……嬉しくなかったんですか。すんません……オ(レ)、舞い上がってて、一言欲しかっただけなんです。でも先輩が……すんません、身勝手で……でも」
 あ、やばい。なんかやばい。とりあえずやばいことだけはわかる。
 たった四歩の距離を駆け戻って早川を掴む。うつ向いたら顔が見えるから、背けやがった。お前はもうなんなんだよ。こっちを見ない勘違いバカの手へ手を重ねてぎゅうぎゅうと握る。冷たいなこいつ、熱血漢は体温高いんじゃないのかよ。こっちみろ。
「待て早川泣くなっ」
「泣いて、ません。もう……言い、ません……か、(ら)」
「絶対何かおかしい! 早川、聞け、俺は恥ずかしいんだ!」
 言っちゃった! と羞恥に襲われるのはだいぶ後。今は早川を正すことが大事!
「言うのも言われるのも恥ずかしいんだ。だってこんな言葉……あー、でも……言われるのは……その、嬉しい、し」
「……っ、すんません!」
 ばっと、いきなり早川が怒鳴る。いや怒鳴ったわけじゃないんだろうが、大声で地面にうずくまられたら、まあびびるだろ。
 まあとにかく、こんな道の真ん中にでかい男がうずくまってんのは迷惑を通り越してシュールだ。汗は流したとはいえ、体を冷やすのもスポーツ選手として最悪だし、暗くても早川の首が赤いのがわかったから俺はひたすら恥ずかしかったし。もう本当、早く立ち去りたい。
 その思いから手を差し出せば、ようやく顔をあげた早川は真っ赤だ。
「ねえ先輩、オ(レ)やっぱ、その」
「え、あ」
 早川の顔がまたくしゃってなる。笑顔なんだけど緊張しきって泣き出しそうな顔。前にどっかで見たことがある。なんだっけ。でもどうしたって言う前に手を握られた。
 あ、まずい。早川の頬が赤いし目がなんか熱っぽい。これはまずい。いきなり表情の理由がわかって、記憶が一週間前に戻って、でも頭ん中が痙攣するみたいに思考が飛ぶ。まずいまずいまずい。ちょっと待ってくれ、たのむから待って。
「オ(レ)、先輩のことが、本当、先輩は嫌なんでしょうけど、二度目だけど」
「早川、待って」
「先輩、好きです、付き合ってください」
「……っ」
 これで、ここで、顔を反らせられるやつがいるなら見てみたいわ! ああでも無理! これ以上見つめあうとか、顔あっついし手もあついし、恥ずかしすぎてなんか泣きそうだし意味わかんねえ。手に力込めんな、なんかもう、手まで心臓みたいだ。なあ心臓ばくばくいってて、なのにぎゅぅうって、もう、なんなの、俺のボキャブラリー消しとんでるんですけど。
「早、川」
「うっす」
「お、れは」
 息を吸うのが一苦労だ。早川のせいだよ!

「俺も、好きだ」

 言っちゃった。ああ、なんだ結局、俺だってこの言葉じゃないか。恥ずかしいよ、本当。





   ら行なしの告白2











何故続いた

森山先輩大好きです(*´∇`*)

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 先輩が好きです。
 先輩と一緒にいて、バスケして、昼食食って、そんな簡単なことで心臓が痛くなってどきどきしてて、自分でも訳わかんなくて、でも本当です。だって先輩かわいいし、すごいし、なんかもう、好きだなって感じしかわかんないんです。今日だって気付いた時には先輩のこと目で追ってたみたいで、監督に集中しねぇかって……ん? 笠松先輩だったっけ……? って違う、あの、そんなこともあって、なんでかなってちゃんと考えて、好き、なんだってわかったんです。本当っすよ!? マジで、好きなんです。今だって、先輩の前に立ってんのに足がふわふわしてて、頭ん中なんもなくて、なんだよってなってんですよ。いつもどきどきして先輩の名前だってちゃんと呼べないし、すっげえ悔しくて、そんで、あの、あーもう!
 先輩、好きです。あ、愛してます! 抱きしめたい! キスしたい! デートとかして、手ぇ繋いでほしいし、褒めてほしいんです! そういう意味で本当に好きなんすよ! お願いします、……付き合ってください……。
 ……。
 ……あ。あ、あの、もしかして引いてるとか……? 男だしこんな告白とかキモイとか……。あ、その、すんません。すみません! だって、先輩が好きだって思ったとき告白しなきゃってしか考えてなくて、でも、その、……どう、なんですか? 本当に、こんなこと、でも、どう思ってんですか?
 ねぇ先輩、真っ赤になってないで答えてくださいよぉ!




  ら行なしの告白











別人じゃねえか

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 扉を開くと、見慣れた室内が広がった。昨日出てからまだ一日も経っていないのだから当たり前なのだが、その代わり映えのなさに何故か心がささくれだつような気がして、入口で動けなくなってしまう。
 負けた後に意味もなく部室に来てしまうのは、きっと部活をやる人間の性なんだろう。なんとなくそう思う。俺自身どうして来たのか、よくわからない。本心は、いろいろ参っているし体も疲れきっているから早く帰りたい。居続ける必要はもとよりない。入る理由もない。
 なのに同時に、ここから動きたくないと強く思う。このまま時間が止まってくれないかと思う。
「世界の終わりみてぇな顔すんなよ」
 後ろから声が掛かる。いつの間にか笠松が立っていた。
「あ……」
「んだよ、さっさと入れ」
「……ああ」
 言われて、蹴られる前に中に入った。何の問題もなく簡単に入れたことに何故かびっくりした。笠松はさっさと入ってロッカーの中から何かを出して鞄にしまっていた。
「小掘は?」
「帰ったよ」
「そうか」
「閉める?」
「いや……まだいい」
 笠松がすとんとベンチに座った。それから天井を見上げる。
「世界の終わりみてぇな顔、すんなよ」
 こちらを見ないでまた笠松が言う。そこまで酷くなっていないと背中に反論すれば、嫌みったらしく鼻で笑って、どうだか、なんて言われた。こういうときの笠松は嫌いだ。むかつくとかじゃなく、何か嫌い。
 たまに笠松はこうして嫌みになる。それは機嫌が悪いからではなく、何かを言い澱んで迷っている時だ。笠松は物事の割り切りがよさそうに見えて意外としつこく執着する。言うべきか黙るべきかで悩み、煩悶している場繋ぎのように嫌みを言ってしまうのだ。同学年の奴以外に言っているところは見たことがないが、面倒なものだ。
 いや、心地いいときもあるんだ。その不器用さが愛しくって、支えになっていることに苦笑して、言葉を待ってやれるときだってある。ただ、今日は、無理そうだ。何がということなく怒鳴りそうになる。
「森山」
「何」
 心を読んだかのように名前を呼ばれて振り返った。笠松はまだロッカーの方を向いていた。呼んでおきながらこっちを見ていないことに少々むかつく。
「泣いていいぞ」
「――」
 どくんと、心臓が鳴って鳥肌が立つ。
 何だ、それは。だから嫌いなんだ。
「……そうか、じゃあ、遠慮なく」
 言った瞬間、本当に遠慮出来なくて俺は泣き出した。その状況には俺自身びっくりしていたけど、やっぱり何か無理をしていたらしく、止まりそうになかった。笠松は振り返らないままで、怒鳴ってやりたくなった。
 笠松は嫌いだ。俺かわいい子が好きだから、嫌いなんだ。
 笠松は、いつもこんなんだから好みじゃないんだ。厳しいくせに、ときどき我儘で、仲間思いで、そんな気遣い必要ない俺まで甘えさそうとするから嫌いなんだ。
「……かさま、つ」
 無理に声を絞り出すと、喉が引き攣った音を出す。笠松は振り返らない。きっと笠松も、世界の終わりみたいな顔をしているんだろう。
 しかし、それなら。世界が終わってしまうというんなら。
「お前も泣くべきだよ、笠松」
 笠松は、一瞬だけ肩を揺らした。それだけで俺はもう無理で、押し留めていた嗚咽はまた言葉を嗄らした。笠松は振り返って、驚いた顔で俺を見た。なんて我儘な奴だ。
 ちくしょうと思う。叫んだかもしれない。
 世界が終わってしまうような顔にだってなるだろうさ、終わってしまったんだから。それを惜しむなら、泣かなくてはいけないだろう。何度も、泣いて、叫んで、悔しがって、何度でも、泣いていいんだろう。受け入れるなんて当分出来ない。
 だけど、俺を甘やかさないでほしい。俺だって覚悟してきたのだから、甘やかすな。俺の悔しさまで一人で背負子むのは我儘だ。
「俺は、さっき……」
「泣けよ!」
 目を腕で覆ったまま怒鳴った。
 俺が一番笠松と笠松は対等だ。これは時間に裏付けされた自信だ。俺が甘えていいなら、笠松だって泣くべきなんだ。俺は笠松に甘えていいと言われると、嬉しくって、甘えたくなるんだから、笠松だけ泣かないなんて、そんなのは悔しいだろうが。だから、笠松は泣くべきなんだ。何度も泣いて、悔しいなら叫ぶべきなんだ。
「もりやま……」
「これ以上、怒鳴らせるなよ……」
 笠松がまた黙る。俺の嗚咽は、しばらく止まらなかった。
 それからずっと経ってから、頷いたのか首を振ったのかも分からないくらい小さく、笠松の頭が揺れた。



世界が終わってしまうと言うのなら、どうか大声で泣いてください









紫に全部持っていかれたのは地味に悔しいです……
森山先輩けっこう好き^^

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