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ぽたぽた。 WJ黒/子の/バス/ケの二次創作BL小説中心女性向同人サイトです
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 誕生日プレゼントを貰ってしまった。
 帰り道でいきなり渡されたマフラーは僕がいままで使っていたものと似たピンク色のもので、薄手のわりに暖かいし、しっとりとした肌触りが気持ちいい。とても気に入ったし、とても、嬉しい。
 では何故こんなにも反応に困っているかと言えば、マフラーは彼らしく素包装で値札付きのままだったので、そのせいでこの贈り物が意外に高価なものだと分かってしまったからだ。なにせ僕が火神君の誕生日にあげたものはマジバの割引券という、知らなかったからでは済まないような投げやりな本当に安いもので、このマフラーとはどう考えても釣り合いが取れていない。火神君は気にしていないのか、僕にこれを渡した格好のまま大あくびしている。僕が云々と考え込んでいるなんて思っていない姿はちょっとイラッとするがむしろ呆れてしまう。ごく偶に思うことなのだが、彼の金銭感覚はおかしいと思う。アメリカではどうだったか知らないが、日本で売買をするものとして間違っているような気がするのだ。
「正直に言って、覚えていたことに驚いています」
 言ってから何て事をと思う。ただそれは照れ隠しで、決して嫌味を言いたかったのではないのだと伝えたい。いや、驚いているのも事実ではあるのだが、しかしそれはそれこそ火神君の誕生日に僕が、忘れないでとしつこいくらいに言い続けたのが原因だと思う。今思い返せばたまたまポケットに入っていただけの割引券をあげたくらいで、よくあれほども偉くなれたものだ。あの時は単純に祝いたいとしか思っていなかったが、自分だけが高価なプレゼントを貰ってしまったと言うのは気が引ける。火神君がさも何事もなかったかのようにしていることがまた不満と言っては失礼だが不満なのだ。未だあくびを繰り返すその口で不明瞭ながらマジバに寄って帰ろうと言ったが、それだってきっと他意はない。
 歩いていると手に持った紙袋が擦れてかさかさ音を立てる。愛されているらしいと言うくすぐったさに加えて、負い目と言うか、気恥ずかしさというか。考え込んでいるとまだちゃんとしたお礼を言っていないことにも気付いてため息が出た。
 ふと、同じように何かを考えていた火神君の歩調が落ち、ついに立ち止まった。何事かと見上げると、音を出しそうな程ぎこちなく火神君が首を向けてくる。火神君は何故かばつの悪い表情で、とても動揺しているようだ。僕の名前を呼んだ声も、少々引き攣っていた。
「……お前、欲しいもんとか、食いたいもんねぇか?」
「え」
「祝うから」
「はい?」
 思わず首を傾げる僕を見下ろしながら、火神君はひどく冷や汗をかいたまま無理に笑顔を作った。
 僕がお礼を言えたのは二時間後である。









黒子はぴば!
実は誕生日を失念していた火神。意外とセレブとかいいと思う。
マフラーはぶらぶら歩いているうちに行き着いたオバサン服売り場にあったものを、あげたくなったから買いました。だからラッピングなし。

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