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ぽたぽた。 WJ黒/子の/バス/ケの二次創作BL小説中心女性向同人サイトです
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 自分の爪が彩られていくのを見るのは、不思議な気分だ。食後の昼休み、桃井がマニキュアを取り出した時点で逃げるべきだった。桜井は勝手にパシリに出ているし諏佐は彼女のところ、若松にいたっては修学旅行だ。とりあえず三人とも呪ってやろう。
 鬱々とする自分のことなどきれいさっぱり無視して桃井はマニキュアを塗っている。すでに左手は五本とも赤みの強いピンクに変わっていて、しかもラメでも入っているのか、やたらきらきらしている。切なくなってきた。
「うわ、何だそれ」
「げ」
「おかえりー」
 そして最悪の状況で戻ってくるのは青峰である。若干顔が引き攣っているのが腹立たしい。
「おい、何だよ、それ」
「これ? 新色なのよ、きれいでしょ?」
「んで今吉サンにつけてんの?」
「似合うんだもん」
 その似合うというだけで押し切られたのは自分であるが、呆れた顔の青峰には本気で腹が立った。青峰は購買の残りだろうかパンを二つ持っていた。たしかトイレに行ったはずだと思ったが、途中で桜井にでも会ったのだろう。つまり代わってほしい桜井はまだ戻ってこないということだ。
 程なくして十本の指をすべて塗り終えた桃井にお茶を買ってきてほしいと頼んで追い出す。桃井は満足しているからか快く引き受けてくれた。
「はぁ」
「すげぇな、その指」
「うっさいねん」
「ジャムみてぇ」
「黙っとれや」
 頬が引き攣ったままの青峰を引き寄せて、思い切り額をはたく。右手はまだ乾いていないが左手は乾ききっているようだ。授業前に落としてくれなかったらどうやって落とそうか。
 短く声を上げた青峰にすこし胸がすっとしたものの、またため息をつく。次の瞬間に床に引き倒されたのでさらに気が遠くなる。爪に欲情しやがったかこの野郎と思ったが、覆い被さった青峰にいっても無駄であろう。
 その代わり、キスしようとしてきた口にやっと乾いたくらいの右手を押し込んでやった。あまりキスは好きじゃないのにしてくるこいつが悪いのだ。
「うげ」
 先程本人がジャムのようだと言った爪だが、甘さはなくむしろえぐかったようだ。飛び起きた青峰は外につばを吐いている。爪はそのつばに濡れたのか乾いていたはずの色が潤んで指の付け根まで垂れている。こちらのほうが断然ジャムに見える。
「……ん、まっず」
 ぺろりと舐めた爪はたしかに苦くえぐくまずかった。




指先にジャム
(ざまあみろ)









マニキュアしたことないけど苦いと思う

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