ぽたぽた。
WJ黒/子の/バス/ケの二次創作BL小説中心女性向同人サイトです
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ひし形の金網にボールが当たる。跳ね返るボールはすぐ手のひらに戻って、ダンダンと音を響かせながらコートを動き回った。中で元気に走り回っているのは小学生だろうか、黄瀬の周りに三人も四人も纏わりつくようにしてボールを奪おうとしている。黄瀬はそれなりに必死らしく、通りかかった俺と黒子にはまだ気付かない。
「青峰君はヒーローだったんですよ」 コートの端で座り込んでいるほかの海常の選手を見ていると、いきなり黒子はそう言った。しかも俺がそれを詳しく聞きだす前に、 「ヒーローって、かっこいいですよね」 と、繋がっているんだか繋がっていないんだかわからないことを続けた。その横顔はじっと金網を見つめていて、けれどきっと、先にいるこどもを見ているわけじゃなかった。 言葉通り受け取るなら、青峰はヒーローで、ヒーローはかっこいい、つまり青峰がかっこいい、と言いたいんだろうか。 だとしたら、それは、悔しいが本当だと思う。青峰のバスケは力強くて、俺だってただかっこいいと思った。普通のスーパーヒーローの形として成っていないだけで、バスケをしている人間として、憧れる。それに、その力に対する嫉妬よりも羨望が適ったのは別に昔のことじゃない。 「……それが、なんだよ」 そうだ。それが、何なんだろうか。青峰が黒子の憧れであるとして、今見える中に青峰はいない。ただの比喩として用いられているにしても、何かおかしい。 青峰は、黒子の光だった。だから違和感があるんだろうか。ヒーローも光も同じようなものだと思うが。 「ヒーローと光って、結構別物ですよ、火神君。たしかに彼は僕だけの光でしたが、それと同時に僕らみんなのヒーローだったんです」 「みんなっつうのは」 「黄瀬君も緑間君も紫原君にとっても、です。中学の頃の彼は、ただヒーローだったんです」 だったら何故、そんな苦しい声をしているのか。青峰がヒーローだったと語る黒子は、感情を押し殺したみたいに硬い声色で、目もいつにも増して無表情だ。時折見せる静かな怒気もない。 苦しんでいると言われればそう見える。だが何に苦しんでいるかも俺にはわからないし、おそらく語られることもない。答えを求めているわけでもないんだろう。 「僕らは、ヒーローに憧れていました。けどそれは、青峰君に憧れていたわけじゃなかった」 「わかんねぇな」 「はい。よくわからなくでも構わないんです」 黒子が金網に手をかける。コートの中では黄瀬と交代した森山が、こどもの頭の上でゴールを決めた。悲鳴をあげているのは何故かこどもではなく海常のメンバーの方だ。小学生は目をきらきらさせて歓声をあげている。 「あれもヒーローか?」 「ええ、きっと。あれがヒーローです」 ようやく黒子がすこし笑った。俺はそれにやっと安心した心持になって、黒子から視線をずらした。コートでこどもの中心にいるのは今度は早川だ。一緒になってはしゃぐ様子はヒーローには見えないが、それでもヒーローらしい。 考えていると小堀に気付かれたらしく指を指された。コートを横断してくる黄瀬を笠松が怒鳴っている姿が金網越しに見えた。その姿はかっこいいわけなかった。 中学青峰はヒーローなんだけど、人を助けるヒーローじゃなくて圧倒的な存在としてのヒーローだと思う。パフォーマーとしてのヒーロー。 そういう意味ではヒーローよりも神様に近かった。だからキセキも尊敬してるだけで近づいてない感じ。バラバラチーム最高期のヒーローは孤独 PR |
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