ぽたぽた。
WJ黒/子の/バス/ケの二次創作BL小説中心女性向同人サイトです
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
大晦日が特別な日であったのはいつまでだったかと青峰は考える。たしかに特別なことではあるがだが、青峰自身としては新年にたいしてそう思うことがないのだ。居間では先程から、今夜の醍醐味とばかりに紅白が映っていたが、何が流行の歌なのかすらいまいちわかっていないので見る気もない。
ようは暇なのである。家でやることは何もないが、かといって、こんな寒空の中初詣に行くのは嫌だ。黄瀬からは知人全員で行きたいという旨のメールが来ていたが、わざわざ今から行かなくとも明日の昼頃には毎年の如く桃井が来るのだとわかっている。何故かすでに着物を出してはしゃいでいたから、もしかしたら朝から来るかもしれない。 そんな明日の予想に、考えただけで面倒だと小さくため息をつく。女子の晴れ着というのは男子ばっかりの家にはかなり羨ましいことらしく、青峰の母親は桃井が来るたびに大喜びなのである。常々、桃井のような子どもが欲しいと言っている母親は、一度、桃井に対して「嫁においで」とまで言っていた。正直に言って、幼馴染みと結婚する気など青峰も桃井もないのである。笑って誤魔化すしかなかった嫌な思い出だ。 「と、来たか」 気分を変えようと水を飲んでいるとき、インターホンの音がなる。電話した時間も考えて、まず間違いないだろうと玄関に行った。外には案の定、不機嫌な顔をした津川が立っていた。 「よう、早く入れ、寒ぃ」 「わかってるよ!」 押し付けられる形でビニル袋を受け取り、自分の部屋に上がる。後を追ってくる津川はニット帽にマフラーに手袋まで完備していて、非常にもこもことした格好だった。栗坊主がニット帽被ってどうすんだよ思ったが、青峰は面倒になってそれは言わなかった。 随分前から暖房をつけたままにしていたが、人がいないだけで居間とは大違いの寒さだ。外よりだいぶマシだとはいえ冷えていることには変わりない。入ってきた津川も、いつもならさっさと陣取るベッドの上を避けて床に座っている。シーツよりも木目の方が温かそうであるのは、なんとなくわかる。ジャンバーを脱いだ下には太い毛糸で作られたカーディガンまで着ていた。寒がりと聞いていたがここまでか。 「何だよ」 「毛糸でもこもことか、すげぇ似合わねぇな、お前」 「うっさいな、寒かったんだよ」 ジャンバーをやや乱暴に置いて津川はビニル袋に手を伸ばす。中には多くのスナック菓子などが詰まっていた。 「だいたいさ、俺ちゃんと買ってきてやったのにお礼もないじゃん。お前ここでぬくぬくしてたくせに」 「今俺ん家なんもねぇんだよ。なら来る奴が買ってくるのがいいだろうが」 「青峰が来いって言ったんだろ」 「あー、だりぃ、わかったって」 津川からレシートを受け取りながら青峰はしっしと犬にするような動きをした。津川はまだ不満そうだったが、黙って菓子の袋を開け始める。 「一口よこせ」 「えー、ったく、自分で取れよなー」 さっそく横になった津川が思い切り嫌な顔をしてチョコ菓子の袋を持ち上げる。青峰は摘まむ気がないらしく財布を確認しながら口を開けた。津川はため息混じりに菓子を食わせてやった。 「甘いな、これ」 「なんでもいいって言ったじゃん」 「文句は言ってねぇよ。おい、飲み物は?」 「え、買ってない」 「あぁ? てめぇ、何のためにわざわざ電話したんだと思ってんだ」 「知らねーよ! 何でもいいから買って来いっつっただけだろ!」 「普通買ってくるだろうが!」 ぎゃいぎゃいと騒ぐ。しかし買ってくる来ないのくだらないことでいつまでも騒げるはずもなく、青峰が折れた。おごりで買い直しである。 青峰は自分だけ行くつもりだったが、主人のいない部屋にいるのは気まずいらしく津川も買いに行く。ぶつぶつと文句を言いながらジャンパーを羽織る津川に舌打ちして、青峰も昨日から椅子に掛けられていたガウンジャケットに腕を通す。黒いこれは日中のほうが暖かいのだが上着なんて一つだけだ。 「何だよ、それ! 青峰のがもこもこしてんじゃん!」 「はあ? もこもこはお前だろうが」 「えー絶対ぇ青峰のがもこもこしてる!」 「もこもこしてねぇよ!」 マフラーを巻きながら津川が食って掛かる。コンビニまでの距離を考えてしかたなく暖房を消しながら、青峰も応じる。居間を通るときだけは静かになるが、外に出たら寒い寒いとまた騒ぎ始める。 年の暮れも、変わる瞬間も、二人は変わることがなかった。 根本はいちゃいちゃな青津。 この後買い物ついでに初詣してくるんだけど、orz PR |
カレンダー
カテゴリー
フリーエリア
最新CM
最新TB
プロフィール
HN:
十色神矢
性別:
女性
ブログ内検索
P R
|