ぽたぽた。
WJ黒/子の/バス/ケの二次創作BL小説中心女性向同人サイトです
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クリスマスはもともと家族で祝うものらしい。少なくとも欧米はそうで、逆にお正月とかは仲間で過ごすんだと聞いた。けど、日本のクリスマスは恋人同士が愛を深めるイベントでしかなくて、この時期に一人身のままは肩身が狭い。というか、やっぱり哀しい。
「せ、先輩!」 「あぁ?」 「うわあっすいませんッごめんなさい!」 「うっせえ謝んな!」 「ごめんなさい!」 「……なんだよ」 「はいっすいませんっ!」 「何がだよ」 そう言うものの、この状況はどうしたことだろう。こんな聖夜に男、しかも部活の先輩と連れ立って歩いているこの状況は。 いや、若松先輩は僕の俺の恋人なんだけど。ちゃんと付き合ってるんだけど、だからってベタベタしない人だから、わざわざクリスマスに呼び出されるようなラブラブした恋人だと思っていなかった。だから、暇なら来いなんて言われて混乱してしまう。どうしようか、どきどきしている。浮かれちゃダメだと思うのに、嬉しい。 「どこに行くんですか?」 「……そろそろ見えるよ」 見えるってなんだろか。この先には公園しかなかったけど、クリスマスツリーでも出来ているのか。 わからないまま付いていくと、感嘆した。 「う、わ」 一面が温かくて優しい光で溢れている。色とりどりのろうそくに火が灯っていて、道を作っていた。ゆらゆらと煌く火のせいか、ろうそく自体が光っているようにも見える。すべてがきらきらしていて綺麗だ。 何も言えないで眺めていたら、どうせだから通ろうと若松先輩が公園に踏み入れる。 「せ、先輩」 「お前、結構少女趣味だからな」 「えぇ!?」 「うるせぇっつってんだろが」 また謝りそうになって押し留める。若松先輩は好きだろと言って、こくこく首を振る。確かに、すごく好きだ。 「ライトダウンだか何だか知らねぇけど、製薬会社と小学校がクリスマスに合わせてアロマキャンドルとか提供してくれてんだと。気に入ったのがありゃ買えるぞ」 そのお金もチャリティー募金になるらしい。一石二鳥というとロマンチックじゃないけど、そういうことなんだろう。公園にはカップルが多かったけど、家族も多くて、僕らが浮いてしまうこともなかった。 連れ立って歩きながらふわふわする。 電光とは違うやわらなか光に照らされた道は、夜と昼の間のようで幻想的だった。ろうそくは色も形も様々で、オーソドックスな物からバラの形やマカロンまで何十種類もある。公園の中心はキャンドルツリーがあるらしく、炎が増えていくほど芳香も強くなる。遠くからも近くにも光があって、きらきらした空間を通っていると足元までふわふわしてきた。 どきどき、きらきら、ふわふわ、ゆらゆら。声を出せなくて、思わず先輩の服を掴んだ。 きらきらした公園の側で、泣き出したい気分になる。 「お前なぁ、アロマで酔うってなんだよ」 「……すみません」 「まあ、そうだよなぁ。お前車とかもすぐ酔うもんな」 「すみません」 「だから謝んなよ、俺が浮かれてて気が回らなかったんだ」 高望みした罰か、浮かれすぎたのか。匂いに酔ってしまった僕は公園近くのベンチに横たわっている。吐き気は落ち着いたけど、まだ動けない。ショックだ、こんな日に。 先輩と、呼ぼうとしてくしゃみをする。ああもう、タイミングが悪すぎる。 「さすがに寒ぃな。おい良っ、立てるか?」 「はい、あの、先輩、僕、好きです」 敷いていたコートを返しながら言うと、若松先輩が面食らった顔をする。でも、言っておきたかった。 浮かれすぎて結局ダメにしてしまったけど、本当に嬉しかった。申し訳なくって泣きそうになるけど、本心だ。 「キャンドルナイトって初めてで、ツリーとか綺麗で、嬉しくて、すごく好きでした。だから、あのっ、ありがとうございます」 恐る恐る頭をあげると、何故か若松先輩は、顔を真っ赤にしていた。 「あー……」 「せ、先輩?」 「……俺も好きだよ、ちくしょう」 反射的に謝って、何故かそれに若松先輩が謝ってますます混乱した。そのあともういいって怒鳴られて、どこかに入ろうと手を引かれる。うわーって僕も顔が赤くなるけど、まだふらふらするから、黙っていた。 すみませんすみません、本っ当にごめんなさい。どうしよう、またどきどきしている。まだ少し浮かれちゃいそうだ。 クリスマスだったので、サンタになって郁珠にプレゼントしてみた。 若松は可愛い紳士です PR |
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