ぽたぽた。
WJ黒/子の/バス/ケの二次創作BL小説中心女性向同人サイトです
× [PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
「恋人のご機嫌が限りなくナナメなとき、僕はどんな対応をとればいいでしょう?」
「…かわいらしー謎々じゃねーみてえだな」 「謎々なんかじゃないです、相談です」 真面目な顔で頷く相棒に、溜息。 黒子の恋人というのが我らがバスケ部主将・日向キャプテンであることは知っている。 何でだか恋人同士の間では結構重要と思われる『告白』というイベントが、俺の目の前で行われたからだ。 いいのか、これ。あとで黒子に聞いたら、「別に構いませんよ」とあっさり流されてしまった。 そりゃあお前らはいいかもしれないけど、俺はどうなるんだ俺は。 別に男同士だからといって偏見もないし、少女マンガの如く実は俺がどちらかに片想いとかいうわけでもないけれども。 ……いいのか、それで。 イマイチ釈然としないものを感じつつも、なんだかんだいい相棒と先輩の、しかも俺の目の前で実ってしまった恋である。応援しないわけにもいかない。 「まあ確かに最近主将ピリピリしてんな」 最近のキャプテンの言動を思い返す。ここ一週間、いつにも増してクラッチタイムが長かったような…… ―――というか俺なんか最近怒鳴られっぱなしな気がしてきた。 「そうなんです。それで、どうしたんですか、って訊いたら、黙ってしまうし。 ……あの人、変なところで格好付けたがるんですよね。 ひとつしか違わないのにどうしても僕よりも年上なところを強調したいらしくて、」 「ハイハイのろけは後で聞くから解決法だろ、今は」 長々と語るモードに入りそうな黒子を慌てて制し(コイツは普段寡黙な分、ノり始めると怖いくらい語りだすのだ。本当にこっちがヒくくらい)、俺は唸った。 日向キャプテンが不機嫌な理由?そんなの、武将フィギュアのことか、コイツのことかしか思いつかない―――。 「黒子!」 「あ、キャプテン」 一年の教室の扉の前から黒子を呼んだのは、話をすればなんとやら。日向キャプテン本人だった。 黒子はすみません、失礼しますね、とキャプテンの元に向かう。 (おーおー嬉しそうなカオしちゃって) 回りから見れば殆ど変化なしだけど、見る人が見れば分かる。キャプテンもそのことに気づいたみたいで、クラッチオフの笑顔で笑いかけた。 (…なんだ、結構うまくいってんじゃん) 確かにキャプテンの機嫌はいつもより悪いけど、誰だってわけもなく苛々する周期とかあるし。 何よりふたりであんな幸せそうなカオできるんなら何も問題ない気がする。 ちょっと違うけど、犬も食わない、ってやつで、当事者以外にはそんなに問題ないのかもしれない。うん、たぶん。 黒子が何か話しかけて、俺のほうを指さす。「今ちょうどキャプテンの話をしてたんです」というところだろうか。 キャプテンがこちらを向き、目が合ったので、俺も体育会系部活の暗黙の掟にならい、しゃっす、と頭を下げ、ようと、した。 体感温度が3度ぐらい下がった。 (……なんでクラッチスマイルなんだキャプテン…!!!!!) ―――日向主将が不機嫌になる理由。そんなの、武将フィギュアか黒子しか……。 ……黒子。俺と黒子は、光と影で、相棒で、同じクラスで、相談とか受けちゃったりして。 (まさか、) 必死に弁明しようと訴えようとするが、こんな真昼間の教室で、俺は黒子と疑わしいことは一切してません!とは云えない。 というか、黒子の話を聞く限り俺と黒子の仲を嫉妬してるとかキャプテンは絶対に知られたくないだろうし、かと云って キャプテンとこんな込み入った話を一対一で喋る機会なんて部活中によっぽど運がよくないとないし………。 キャプテンの黒い笑顔に引きつった笑いを返して、俺は最近覚えた文句を思い出していた。 人の恋路を邪魔するヤツは、馬に蹴られて死んじまえ。 …もしかしたら俺は、ものすごい貧乏くじを引いてしまったのかも、しれない。 で、こちらもげっちゃんから頂きましたが、これたぶんサイト作ったときか作る直前にリクエストして貰ったやつかと。 とにかく日黒が欲しかった覚えがある私 PR
けたたましい電子音で、試合は終了した。けど、そんな音が彼方に聞こえる。
しばらく呆けて、そのうち、負けたんだと思ったら、涙が出た。 「……あれっ……あれ……」 負けた。負けちゃった。 初めて、負けて泣いた。 ああ、どうか。 どうか話を聞いて下さい。 くだらなくて、どうしようもない、何処にでもあるような事なのですが、どうか。たった一人の人間の話ですが、聞いてほしいのです。 私は今日、失恋しました。 私には好きな人がいます。とても可愛らしくて、とても強い子です。勇ましいと言っても差し支えないでしょう。他の人が口々に無意味と言う彼の才能は、しかし私には到底真似できない高尚な才能なのです。 私は何時からと言うでもなく、彼に恋し、慕っていました。彼の傍には他にも素晴らしい才能を持つ者がいましたが、恋慕とは偉大なもので、彼がいるだけで私は世界のすべてが輝いて見えたのです。 私は今日、彼の隣に立つ者に、ひどくひどく悪意を持ちました。私になかったものを持っているらしいその者に負けることだけは嫌でした。また、選手としてのプライドの上でも、三年間培ってきた技術の上でも、新参者に負けたくないと思っていました。 しかし何より、私の愛している人を好いてもいない者に負けるのが嫌だったのです。 そうです。私が彼を想い続けている今も彼の隣にいる相手は、彼を好いていないのです。 好意はあります。しかし恋愛感情ではないのです。 私が彼と共にいた三年間は、楽しく素晴らしかったと簡単に言える物ではありません。彼はその三年間を疎み、倦厭するように離れていったのですから、尚更でしょう。 それでも共にいたのです。私が想い続けた時間があったのです。 永遠の運命の赤い糸を信じていたわけではありません。しかし、目先の幸福だけを望んでいたわけでもありません。 私は常に彼を愛していましたし、彼と同じく特異であったと思います。彼と同じ存在である私以上に、彼に近づける者はいないのだと思っていました。 この思いを口にできれば、そう思った事もあります。 ですが私にはできませんでした。私はその告白により、拒絶であれ受諾であれ、彼の特別になることを恐れていたのです。 なぜなら私は己の感情の醜さを知っています。利己的で自己中心的な心の内を知っているのです。だから誰かの特別になることをよしとすれば、私はその幸福を保持するために誰かを食い殺してしまうでしょう。私は臆病なのなのです。 その結果、私は光を失ったのです。 ええ、そうです。影であるという彼の方が、私にとっては光だったのです。彼の消失により私の世界は輝きを失いました。私は彼がいなくてはいけないのです。 先程、彼に会ってきました。 そして、まるで呪詛を掛けるように、彼の新しい希望の才能を讃えて気持ちをなじりました。そのせいで彼が傷付くとわかっていて、告げるのです。彼に、同じ事を繰り返しているだけなのだと知らせたかったのです。 しかし、意味がなかったのです。 私の愛する人は、私の今までを否定して彼を信じました。傷付くことになろうとも構わないと言うのです。彼を探していた新しい光は、道を違えるはずないと言うのです。 愚かにもその時、彼らが信頼しあっているのだとわかりました。そこには私の恋のような私情の混ざった感情は一切ないのです。純粋にバスケを楽しんで、バスケを愛しているのです。 どうぞお笑いください。私は今日、試合に負けて、始めることも出来なかった勝負にも負けたのです。 「……つっ……あーもう……」 どうか私の心臓の奥からの声が、これ以上響かない事を祈ります。私はこの思いを口にできればと、いつもそう思っているのです。しかしそれはならないのです。 どうぞ、救いの手を差し向ける事のありませんように。 私はこの恋に止めを刺さなければなりません。そこには慟哭も、献花も献杯もいらないのです。ただただ、覚悟のみが必要なのです。 「……っくしょ……」 さようなら、お別れです。 ここで一人の人間の恋は終わります。 「……ちくしょうっ……!」 私は、貴方の事が好きでした。 イキシア“秘めた恋” アヤメ科の小さな花なんですが、可愛いより綺麗な花だなと思っています |
カレンダー
カテゴリー
フリーエリア
最新CM
最新TB
プロフィール
HN:
十色神矢
性別:
女性
ブログ内検索
P R
|