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ぽたぽた。 WJ黒/子の/バス/ケの二次創作BL小説中心女性向同人サイトです
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 俺、真ちゃんのこと好きなんですよねぇ。結構本気で。何が好きって全部好きなんすよ。黙ってりゃ綺麗だし、口開けばかなり面白いし、可愛いとき可愛いし。え? いやいや可愛いですって!
 それに、バスケすげぇし。俺、あれはマジすげぇと思うんですよ。才能もそりゃあるんだろうけど、努力もしてるし。つか日頃から指、テーピングで保護してるとか普通あり得ねぇ。執念っつーか、それに、なんだっけ、人事を尽くして天命を待つ? 占いにまで手ぇ出してんのは笑っちゃうけど、それもそれだけ本気ってことだし。本気で負けたくないってことだし。勝ちたいってことだし。
 なんか俺、そういう真ちゃん見てるとマジいいなって。絶対勝たせたいって思って。やっべえ好きだって思って。どんどん好きになってくみたいで。
 なんでキャプテンなんすかね。
 確かにキャプテンは真ちゃんのこと大事にしてるみたいだし真ちゃんはキャプテンのこと大好きだけど、俺のほうが真ちゃんのことキャプテンより好きな自信あるっつか俺のが真ちゃんのこと絶対知ってると思うんすよ。だっていっつも傍にいるの俺だし。真ちゃんが笑ってるときも泣いてたときも一緒にいたし、いなくなったら絶対捜す。キャプテンは捜すのかな……。真ちゃんがいなくなったら一番に見つけられるよ、俺。何処に行ったかとかすぐわかるし。好きなんだから当たり前じゃんね? ……ですかね。
 けど真ちゃん靡かないんです。キャプテンのことすごく好きなんですよ。そんなに何処が好きなんだって聞いたら顔赤ぁくしてさ、可愛いけどちょっとムカってして……あ、で、何処が好きって聞いたんですよ。そしたら背が高いことらしいんすよ! そんだけ! あとは特になしって――

 ガタッと、そこまで一気に捲し立てて高尾はのけ反る。一度、すっと息を吸う。
「無理に決まってんだろーーがあああっ! あーもー!」
「うっせえよ」
 頭を抱えたまま絶叫した後輩を木村が叩き落とす。宮地はもっとやれと心の中で声援を送る。高尾はのけ反っていたために後ろに倒れそうであたふたした。
 大坪と緑間が付き合っているというのは事実だが、ひた隠しされている事なので知らない人間は多い。高尾はそれでなくとも以前から緑間に好意を寄せていたのだから、先手を打たれていたことに地団駄踏んで悔しがっているのだ。
「ひっでぇ! だってさ! バスケならプレイスタイルとか様々だからいろいろ手はあるし、勉強とかなら頑張れるけど! 身長って無理でしょ! キャプテン198センチあるのに、2メートルまで伸ばせって!? 伸びねぇよってか俺、低くねぇよ! 普通! 平均!」
「まあな」
「まーね」
 厳密には緑間は廊下などですれ違うときとかに何とはなしに頭を叩かれたり、ふとしたときに触れてもらえることが嬉しいらしいのだが、ちゃんと説明していないのだから高尾に伝わるわけがない。宮地とて大坪がめずらしく惚気てこなければ知らなかった。
 大坪から内密に呼び出されて緑間の行動を惚気られたのは最近の話ではない。最初は驚きを隠せなかったが、恋愛に疎い大坪の普段との違いが面白かったので付き合っていた。しかしそれももう二ヶ月となれば飽きてくる。下手をすれば一週間ごとに呼ばれるのだ。大坪は相談のつもりだが無自覚な他人の惚気ほど聞いていて殴りたくなるものはない。そもそも宮地は緑間のことなど知りたくもないのだ。
(てゆーか、あの堅物ムッツリが惚気てんだぞ? わざわざ俺と木村呼び出してさ!)
 この騒がしい後輩が何をとち狂って同じ学年の男に恋愛感情を抱いているのか知らないが、残念ながら相手はすでに別の男のものである。それが周知かどうかは別として、本人たちはこっそりと、しかしはっきりと、鬱陶しいまでに幸せオーラを出しているのだ。高尾の言うとおり、お互いがお互いをかなり好いているらしい。正直に言って、バカップルのようなあの二人の間に高尾の入り込む余地はないように思える。
「そりゃそうですけど! でも愛には深み重みがあるもんでしょ!? 真ちゃんを理解してやれるとか男気とかなら俺、負けてないし。大好きだし愛してるし! 絶対俺のほうがいいのにさあ!」
 あーもーと、叫ぶだけ叫んで高尾は両腕に頭をうずめた。やっと静かになった店内に息をつけば、今度はちらちらとこちらを窺う店員の視線を感じて木村は頭痛がしそうな顔をした。宮地はすでに空になっているグラスの氷を噛み砕いて、ため息を吐く。
「あんさぁ、高尾。お前、何したいの?」
「はい?」
 おかしな声を上げる。それに宮地はイラッとしたのがわかった。
「大坪に緑間取られた愚痴を俺らに言ってどーしようっての。慰めてほしいわけ? それとも大坪から緑間を奪い返したいから良案でもよこせっての? さっきからさぁ、何したいのかぜんっぜんわかんないんだよね~」
 額に青筋を立てたまま笑顔になっていく宮地に木村が目を逸らした。弾かれたように起き上がった高尾は相談だと言って、宮地はだから何の相談だとついにキレる。高尾はだから、としばらく言葉に詰まってあたふたしていたが、そのうち両手を組んで目を覆った。天井を仰いだまましばらく動かない。
「俺、真ちゃんのこと本気で好きなんすよぉ……」
 それから、開口一発目と同じことを高尾は言う。
「綺麗で、面白くて、可愛くて、がんばってて……、俺、もう泣かしたくないし、絶対勝たせたいって思って。やっべえ好きだって思って。どんどん好きになってくみたいで。これなんかやばいじゃん! やばいですよね、マジでどんどん好きになってって、これ、収まんなくなったらどうしよう、真ちゃん傷つけたらどうしようって」
 怖くなると高尾は締めくくる。宮地はまたため息をついた。
「俺、真ちゃんが幸せじゃないの嫌なんだよ」
「……あー」
「けど」
 何か言わなければと木村が口を開いたとき、高尾がまた言う。腕はずり落ちたが上を向いたままで顔は見えなかった。
「俺、キャプテンのことも、嫌いじゃない」
 沈黙する。
 木村がどうしたものかと考え込んでいる隣で、宮地がため息を吐く。それはそれは面倒くさそうにため息を吐く。
 そして高尾と冷静に呼びかけた。高尾は後ろに落ちていた頭を戻して宮地を見る。泣いていなかった。そんな分かりきっていたことに木村は少しほっとしたらしい。
「緑間が好きなんだよな?」
「……」
 高尾が頷いた。
「で、大坪も好き?」
「……」
「堂々巡りか」
「……」
 言葉なく、高尾はまた頷く。宮地と木村もまたため息をつく。なんて答えのない問題だろうか、今日のうちに逃げた幸せがいくつあるのか数える方がまだ明解だ。
 今まで騒がしかったのが嘘のように静まり返った席で、宮地は最後の氷をがりがりと噛み砕く。すでに小さかったそれを飲み込んで、よしと掛け声を掛けて高尾を見つめた。
「ならもう仕方ないな、解決したら教えろ。俺なんか飽きたし帰る」
「は?」
「え?」
 さも当然だというように宮地は立ち上がる。疑問符を浮かべる木村と高尾は反応が遅れた。宮地はその間にスポーツバッグまで肩に掛けていた。再度言うが、本来宮地は緑間のことなどどうでもよく、知りたくもないのだ。
「……」
「えええええ! 待って、それだけ!? 助けてくんないのぉ!?」
「うっぜえ! つーかこっちに何決断押し付けようとしてんだよ。知るわけないじゃんそんなの。マジで助けて欲しかったらそれなりのことしろっての!」
「鬼!」
「刺すぞてめぇッ、あと、さっきから舐めた口きいてんじゃねーよ! こっちは先輩だ敬語使え敬語!」
「今更ァ!?」
「静かにしろよ……」
 立ち上がって止めに掛かる高尾と、そんな高尾の首を締めながら睨みつけている宮地に、店中の視線が集まっている。もはやあからさまに窺ってくる店員の視線を感じて木村は気が遠のきそうになっている。もう問答しようという気力もない。
 はあと、大きくた漏れたため息は宮地の怒声に掻き消されて誰にも聞こえなかった。






高尾はいい子だよ!てことを言いたかったんだと思う。あと木村はいい奴だよってのも。
題名は翌日の朝練時です。

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